季節予報システムによる天水稲作の意思決定
選定企業:国立研究開発法人国際農林水産業研究センター
(Japan International Research Center for Agriculture Sciences:JIRCAS)
事業サマリー
季節予報をベースとした稲作用の意思決定システム(WeRise: Weather-rice-nutrient integrated decision support system)を導入し、乾期作収穫時期と雨期作作付け開始時期の予測検証を行います。あわせて、予測情報を用いた営農計画の改善を目指します。WeRiseで適切な意思決定と営農を行うことで、低位不安定から高位安定なコメ生産の実現を可能にします。
取組課題 灌漑稲作においては、農家の灌漑ポンプの過稼働による生産コストや水資源の浪費が問題となっています。降雨時期や雨量を正確に予測できれば、雨水を活用し課題を解決することができます。二期作においては、事前に降雨予測ができれば、適切な栽培計画を立てることが可能となります。
ソリューション WeRiseは、稲作農家の意思決定を支援するために開発されたICTツールです。12か月先までの季節予報を基に、作物生育モデルを用いて最適な品種・播種時期・施肥時期、収穫時期予測を行うことができます。2期作にも適応しており、前作と後作の作業スケジュールの調整等、営農の改善にも活用できます。
取組課題 灌漑稲作においては、農家の灌漑ポンプの過稼働による生産コストや水資源の浪費が問題となっています。降雨時期や雨量を正確に予測できれば、雨水を活用し課題を解決することができます。二期作においては、事前に降雨予測ができれば、適切な栽培計画を立てることが可能となります。
ソリューション WeRiseは、稲作農家の意思決定を支援するために開発されたICTツールです。12か月先までの季節予報を基に、作物生育モデルを用いて最適な品種・播種時期・施肥時期、収穫時期予測を行うことができます。2期作にも適応しており、前作と後作の作業スケジュールの調整等、営農の改善にも活用できます。

進捗状況
開始時
2021年2月、キックオフミーティング実施しました。毎週木曜日を定例会日とし、進捗確認と活動計画に関する定期的な情報交換を開始しました。3月には、現地活動を開始し、アンケート等調査結果を基に、WeRiseの予測に必要なデータの整備を行いました。7月には、機材の現地発送が完了し、気象・土壌・作物データに関する既存データベースを使い、WeRiseを使った収穫時期及び収量予測情報の整備を行いました。

結果報告
今回の実証実験を通じて対象エリアにおけるWeRiseの季節予報の適用可能性が確認されました(図1)。また、農家が最適な乾季作の収穫時期と雨季作の播種時期を逃しており(図2及び3)、減収や水の浪費につながっていることが示唆されました。これらのことから、セネガルにおける稲作の生産性の向上と水資源の有効利用という課題の解決に対してWeRiseが有用であることが確認されました。今後は更なるデータの蓄積を通じた精度の向上と現地の人材育成・運営体制の構築・強化を通じてWeRiseがより一層普及しセネガルの稲作の生産性向上に寄与することが期待されます。

図1 降雨量、平均最低気温、平均最高気温、平均風速に関する平均誤差
- 2021年8月に現地で観測した気象データとWeRiseの気象予測データ(2021年6月上旬に整備)による平均誤差は比較的小さく、WeRiseからの予測情報の信頼性はある程度説明できることが分かりました

図2 乾季作の播種時期と収穫時期の関係
- 対象地における播種日と収穫日の関係について、WeRise (到収穫日数130日)を基準とし、対象地の農家による播種日と収穫日の関係を次の3グループに分類しました
☑ WeRiseより短い生育期間で収穫時期が早いグループ(<WeRise)
☑ WeRiseと同程度の生育期間で収穫時期もほぼ同一のグループ(WeRise=)
☑ WeRiseよりも生育期間が長く収穫時期が遅いグループ(WeRise<) - 40農家中3農家(8%)が<WeRise、24農家(60%)がWeRise<、WeRise=の農家は13農家(33%)でした

図3 雨季作の播種タイミングと収量予測
(注)SD1:6月27日―7月6日、SD2:7月7日―7月16日、SD3:7月17日―7月26日、SD4:7月27日―8月5日、SD5:8月6日―8月15日、SD6:8月16日―8月25日、SD7:8月26日―8月31日
- 図3はプロジェクトサイト用に整備した気象、土壌、作物データベースを用いた2021年6月時点における2021年雨季作播種期別の収量予測を示します
- WeRiseの予測によると、SD1-SD2(6月27日―7月17日)を過ぎると、収量は減少を始めSD4(7月27日―8月5日)以降に3t/ha以下となります
- 聞き取り調査の結果、農家の大半の収穫時期は7月中旬から8月中旬までとなっており、高収量のタイミングを逃したことになります
- なお、今回の試験では雨期作における播種時期と収量の検証は実施していないため、雨期作の実測値による予測値の検証が必要です
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